立正安国の実現へ

世界全体の幸福と平和を祈り立正安国の実現に精進する国柱会



国柱会は、純正日蓮主義を信奉する在家仏教の模範教団として、明治17年(1884)、田中智学先生によって創められました。創始の当初は会の名を「立正安国会」と称し、大正3年(1914)11月、全国の組織を新たに統合して国柱会に改めました。その名称は日蓮聖人の『開目抄』に記された、三大誓願の一つである「われ日本の柱とならん」の聖語に由来しています。
国柱会の主義主張は、一言で示せば、「純正日蓮主義」ということになります。日蓮聖人を単なる宗祖と仰ぐのではなく、〈閻浮(世界)一聖〉すなわち末法人類の根本救済を任務として日本に出現された本化上行菩薩と仰ぎ、聖人の正しい教えを宣揚するものです。
時代を超越して教界に独自の存在をしめし、輝かしい歴史をもつ国柱会には他に類例のない特色がたくさんあります。
第一に、国柱会は〈寺檀制度〉を排し、純粋な信者の積極的な護法信行の志をもとにして結成し組織する教会同盟です。日蓮聖人の宗教を正しく信仰していこうと純信なる信者が、異体同心に結束して信仰修行の模範的な組織をつくったのが、教会同盟国柱会なのです。

第二に、国柱会は、仏教史上の大革命を意味する在家仏教の教団であって、人間の生から死まで、人生・家庭の現実を開顕し正しい信仰の真価を発揮します。在家仏教ということばは最近よく使われますが、国柱会はふかい理念にもとづいて在家仏教を主張します。

第三に、国柱会は、日蓮主義の理想が一天四海皆帰妙法であり、〈一国同帰〉であり、「戒壇の事成」であることをはっきりと主張し、その目標にむかって信行にはげみます。ことに日本国は『法華経』本縁の国であり、日蓮聖人応誕の地であり、古来一貫して天皇を中心に仰ぐ道の国であり、この日本国体を開顕した〈法国冥合論〉を主張し、日本の真性命の覚醒をうながすことを大きな使命としています。

第四に、全日蓮門下の各教団が、封建時代の遺制と派閥的な教学思想をすて、各派祖をこえて、日蓮聖人その人にかえり、全宗門が正しく統一されることを念願しています。「宗門統一」のあかつきには、国柱会の存在理由は解消したといえるわけで、日蓮聖人の祖廟のみ前で解散すべきものであります。その日が一日も早く来るように願って活発な運動を行っているのです。

第五に、日蓮聖人の宗教を現代に再現し、時に応じて正しい信行の軌道と目標を明確に教示くだされたのは、田中智学先生です。

創立者 田中智学先生


田中智学先生(明治23年当時、30才)

 国柱会の創立者田中智学先生は、文久元年(1861年)11月13日、東京日本橋に生誕されました。幼くして両親に死別、日蓮宗門に入り大教院(立正大学の前身)に在学中、日蓮宗の宗風に疑問をもって、独学研鑚の道に入られました。日蓮聖人の御遺文に決を仰ぎ、ついにふかい確信をえて、誓願をたてられ、19歳の折、宗門を去って在家にかえり、同信の有志とともに、明治13年、横浜に「蓮華会」をおこされました。やがて東京に進出して、明治17年に「立正安国会」を創業されました。(昭和59年に創業百年を迎えました)「立正安国会創業大綱領」の第一則には“宗教ヲ以テ経国ノ根本事業トスベシ”と大抱負を述べ、縦横無尽の活躍をおこされました。
 明治18年1月田中智学先生は、佐渡始顕妙法曼荼羅を模範広式御本尊とさだめられました。また、御修行の正範である『妙行正軌』(現行は明治36年制定)はじめ、頂経式、結婚式、正葬儀の儀典も定められました。特に結婚式(本化正婚式)の制定は、仏教史上初めてのことであります。正婚式制定の前半の明治19年、先生は、仏教史上画期的な「仏教夫婦論」の大講演を行い、在家仏教の真意義を解明されました。 明治35年には、日蓮聖人の宗教の教学を組織体系化した「本化妙宗式目」(日蓮主義教学大観)を完成されました。明治36年より1カ年、大阪の立正閣において、日蓮門下各教団の僧侶等百余名をあつめて、本化宗学研究大会を開催し、本化妙宗式目を講じられました。この研究大会の修学旅行中、畝傍の神武天皇御陵のみ前で、先生は「皇宗の建国と本化の大教」と題し、「本門戒壇」〈法国冥合〉の法門をもって〈日本国体〉を〈開顕〉されました。
 大正3年11月3日、世の中のうごきにこたえ、日蓮聖人の宗教をひろく国民に宣布するために、立正安国会は、国柱会に発展しました。体制も整い、教化活動はいよいよ盛んになりました。
 創始の意義については、次記の「国柱会創始の宣言」の最後の一節でも明らかです。「国家の真性命を知り、人類の真意義を味わんとするものは来れ。国柱会は此等真摯の自覚者に対して、直に強大なる国民性の安心信念を孚生(ふせい)せしめんとす。是れ当然自覚すべき日本国民の天職なり。必然到達すべき人生の根本意義なり。」
 大正11年には教化芸術運動としての〈国性文芸会〉も生まれ、国性芸術がさかんに公演されました。翌12年、政治活動として、〈立憲養正会〉が発足し、〈天業青年団〉も各地に活躍しました。15年には明治節制定の請願運動を契機として「明治会」が創立され、国体主義教化運動が全国に拡大され、昭和2年に請願運動がみのり、明治節が制定されました。
 昭和3年には妙宗大霊廟が創建され、同6年、東京・一之江に本部大講堂が落成しました。同年、日蓮聖人650遠忌を機会として〈祖廟中心・宗門統一〉のスローガンのもとに〈身延登詣団〉が組織され、今日まで毎年つづけられています。
 先生は、昭和14年11月17日、仏法のため国のために身命をささげつくして、安祥として御示寂になられました(79歳)。

本化妙宗(ほんげみょうしゅう)


日蓮聖人鎌倉小町辻説法


ファイルイメージ

法華経の御説法

吾が身も吾が父母先祖も吾が国土も吾が子孫も、諸共に成仏する教でなければ、信じて益なく持って効がない。それを教える為に、日蓮聖祖この国に出現なされた。これを伝えたのが本化妙宗である。
                                      (『妙宗』第四編第七号 明治34年7月より)

 人生にとって宗教ほど、尊貴なものはありません。それゆえに宗教は、純粋で、正しく信仰されなければなりません。日蓮聖人が法華経の真理を宣明し、幾多の法難を超え、生命をかけて妙法の尊さを示されたのは、そのことであります。日蓮聖人は、人々が本仏釈尊の仏子であることに目覚め、『法華経』の真理に依らなければ個人はもちろん家庭、社会、国家の安泰はないとして、〈立正安国〉を叫ばれたのです。
 『法華経』には、〈末法〉の人間を救うために、本仏の本弟子である〈本化の菩薩〉を派遣すると予言されています。日蓮聖人が体験された数々の法難迫害は、この『法華経』の予言とぴったり符合し、『法華経』の真実性を完全に証明することになったのです。日蓮聖人こそ、絶対平和世界を実現するために『法華経』に出現を予言された〈本化上行菩薩〉なのです。国柱会は、日蓮聖人を末法人類のただ一人の救主〈閻浮一聖〉としてあがめ、聖人のみ教えを正しく信行し、立正安国の願業達成をめざして精進している〈在家仏教〉の教団です。
「日蓮聖人は一宗一派の祖師ではなく、世界人類の救主」と、仰ぐ国柱会の主義主張の原点は、日蓮聖人が建立伝弘された、「本化妙宗」であります。国柱会は妙法蓮華経を宗旨としますが、本化上行菩薩日蓮聖人の建てられた妙法蓮華経の宗旨ですから「本化妙宗」といいます。「本化妙宗」は、日蓮聖人の宗教の正式名称なのです。従って、日蓮聖人のご門下ならば、宗旨の名として「本化妙宗」というのが本当なのです。ここでの宗旨とは「教えの中心の一ばん尊いもの」を表しています。
 田中智学先生は教団の発足にあたり、その理念を次のように定められました。

本化妙宗宗綱
本化妙宗は、如来出世の本懐として、本仏釈尊金口の宣示する所、末法救護の憲教として、本化聖祖色読の唱導する所、已に出で今出で当に出でんとする宗見学見、種々の妄想邪謂を打破して、法界唯一乗の妙義を光揚し、人類の思想道徳を統一して、常寂光明の真世界を現出せんが為に建立伝弘せられたる。閻浮統一の名教なり。
本 化 妙 宗 信 条

第一則
 本化妙宗は法華経の教理に根拠し、その旨帰(しき)の命ずる所において宗旨を決着し、宗旨の定むる所に遵って修行を立す
第二則
 教法を判じ宗旨を決するは、専ら末法の依止(えし)師たる本化聖祖の知見指導に拠る世間一切の学見思想を判ずるもまた本化の知見を以て能判能開となす
第三則
 本化妙宗の信は先ず依師聖祖に対して発生し、依師を透して以て本仏本法を認む
第四則
 本仏本法の功徳勝能は ことごとく本化聖祖の知見身行に発現せられたることを確信して之を絶待の聖境と定め、自己の色心依正を聖祖の大慈願海に摂帰して法界円融する、之を妙宗信心の成立と為す
第五則
 本化妙宗の信は不惜身命の心地を体と為し、随順歓喜の情念を用と為し、勇猛精進の意気を力と為し、純潔光明の意思を発作と為し、人法ともに雑乱昏昧を離れて浄心信敬の実を全うするに在り、その止作の要件を左の十条と為す
 第一条
   宗徒の安心は直ちに聖訓に根拠すべし
 第二条
   本尊の雑濫を厳禁すべし
 式の本尊を奉じ及び勧請を錯(あやま)るもの、都(すべ)て之を本尊の雑濫と為す本化妙宗の本尊は、聖祖親奠の正儀たる本門の本尊、事の一念三千十界常住輪円具足の妙法曼荼羅を正式本尊と為し、特に模範を佐渡始顕の広式に取る末法依師の聖容を合祀するは妨げず
 第三条
   修行の雑濫を厳禁すべし
非違の雑行を修し及び行軌を錯るもの、都て之を修行の雑濫と為す。本化妙宗の修行は要法受持を正行と為し、広略四種を助行と為し、折伏立行を行意と為す
 第四条
   本化妙宗信行の目的は、即身成仏娑婆即寂光の大安心を決定して人類と共に妙道に入り、国家と共に成仏せんことを期するにあり
 第五条
   一天四海皆帰妙法の祖猷(そゆう)を遂行するは宗徒究竟の願業なれば、いかなる困難をも忍耐し、いかなる障害をも排除して必定成就せんことを期すべし
 第六条
   身軽法重の宗憲を体達し、呵責謗法の教旨を格守し、大慈道念以て権門邪教の非違を糾明し、一乗の正義を光揚すべし
 第七条
   他教異宗の教義又は祭祀を信仰し、及び之に供養することを厳禁すべし
国家郷党の典礼に属する国儀例俗の祭祀にして、宗教以外のものはおのずから本条の外とす
 第八条
   自行化他宗風護持の要は、必ず異体同心の祖訓を体現するにあり  
同心とは聖祖に同心するの謂にして宗徒相互の同心を謂うにあらずもし聖祖を中心とすることを忘失して単に宗徒の同心を期するは、終に異体異心に帰す、宗徒億万ただ克く聖祖に同心し了らば、相互の間また期せずして堅実正大の同心を成ずべし
 第九条
   本化妙宗の主義を以て修身経国の基本と為し、一身以て先ず国家人生の率先指導たるべく完全の行用を期すべし
 第十条
   新旧古今の時幣を超脱し、背教失意の迷信妄儀を排除して、如法正当の宗儀教式を完備せる本化真正の教会制度に依りて、信行安心を相続護持すべし

国柱会は、この宗綱のもとに明治・大正・昭和・現在に至るまで、日蓮聖人の立正安国の精神を体して、この地上に絶対平和世界・仏国土真世界を実現し、自他ともに幸せになろうという誓いと祈りのもとに、活動しています。

法華経を所依の経典とし、純正日蓮主義を標榜する在家仏教は、まず家庭を信仰の道場として、御本尊を中心に、家族一体の信仰生活を実践することであります。そこには迷信や我欲にもとづくご利益主義や、それに類するご祈祷などは一切みとめません。正法正義を厳正純潔に信仰する姿勢こそ、国柱会の生命であります。

宗教法人国柱会は、創始者田中智学先生の遺業を継いで、霊廟賽主田中壮谷先生が、給仕第一の修行を垂範し、全国に70余の支局があり、14の地方連合組織を形成して、日夜教化活動を展開しております。

日蓮聖人御降誕800年(平成33年)という聖なる佳年を目前にして、いよいよ混迷をふかめる世界に光明をあたえるべく、日本を世界平和の基地たらしめ、常寂光明の「真世界」創造に向かって勇猛精進すべく、全同志は異体同心の結束を固めています。


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