常に悲感を懐き心遂に醒悟す

2024年05月29日(水曜日)

 若い世代の方はまだご両親も健在で両家の祖父母もご健在という方も少なくないかと存じます。しかし、悲しい事ですが、時として自分にかけがえのない大事な人が亡くなることがあり、そのことは誰しもが必ず経験することでしかたがありません。
  『妙法蓮華経』「寿量品第十六」では「良医病子の喩」が書かれており、その中で、子供達が、他国に出掛けた父が旅先で亡くなったと知らされて悲感に暮れていたところ、父が出掛ける時に言っていた薬を想い出して飲み、皆の病が治ったことが述べられています。タイトルに掲げました聖句はその中の一節です。
 大切な人が亡くなった場合に限りませんが、人が大きな不幸に出会った場合、そのことが自分にとってマイナスばかりとは限りません。自分がこれまでに得た色々な経験に想いを馳せ、これまでの自分の有り方を根本的に転換する機縁とし、悟りには至らないまでもかなり多くの事を学ぶ事が出来ます。また、自分が痛みを経験することによって、同じような痛みを抱えている人がよく理解でき、自分の心をひろめることができると思います。そんな場合に、自分の不幸をかこつばかりでますます不幸に堕ち込んでいく方もおられると思いますが、皆で手助けして、プラスの方向に転換していく様に導くことが大事ではないでしょうか。我々本化妙宗を奉じる者は、大聖人が述べられている「妙とは蘇生の義也」といった聖句を心に刻んで、嘆くばかりに終止しないで、総てをより良い方向へと蘇らせ、日々精進していかなければならないと思います。
 今や世界的末法の真っただ中で、ロシアが核兵器の使用をちらつかせるなど、この世界の滅亡も取り沙汰されています。我々本化妙宗の宗徒が目指すところは、いつも言うように、全世界の絶対平和です。道は遠いですが、皆が「心遂に醒悟する」ように働き掛けましょう。日本は多くの犠牲を払った唯一の被爆国であり、核兵器の廃絶を世界に発信しなければならない責務があります。我々が率先して平和の使者となることを私は強く願っています。これからも多くの同志と共に共鳴者を募って世界の絶対平和実現に向けて生々世世日々共に頑張っていきたく存じます。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷




真世界巻頭言


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