妙宗大霊廟創建100年を前にして

2025年03月27日(木曜日)

 妙宗大霊廟が創建されて、令和10年で100年を迎えます。「百年後誰があなたのお墓を守りますか」と言うキャッチコピーではないですが、恩師田中智学先生が建立された妙宗大霊廟は、無縁墓が増えている現今にあってもこの様な心配は不要かと存じます。毎日欠かさず挙行されます正中法座に続けて、大霊廟の参拝を行っていますが、それとは別に有縁の方々が沢山来られ参拝されています。こんな景観に接しながら、後の100年いやその後もずっと続けて守られていくことを確信して今原稿を書いているところです。
 100年、この長い間に様々なことがありましたが、生き字引の妙宗大霊廟はそれらをじっと見据えてきたことでしょう。昭和20年3月10日の東京大空空襲でも奇蹟的に無傷でした。いま皆様がご参拝される常勤台の左右にお線香をお供えして唱題できる所がありますが、そこまで焼夷弾に見舞われ、霊廟のみが残って焼野原になりました。そのさなか、私の祖母方の曽祖父の兄弟が、唱題中に空襲の被害にあって亡くなりました。当時妙宗大霊廟の周りには高い建物がなかった為、爆弾投下の基準として残されたのだと地元の長寿会の方が仰ってました。もしかすると、米軍のパイロットが妙宗大霊廟の荘厳さに畏敬の念が抱いたのかもしれません。奇跡的に残ったのは一大事因縁によるものに違いないと私は感得しています。
 大霊廟は法華経の教えを形で表したもので、祈る事で妙益に浴することができます。宝塔の正面にはお題目「南無妙法蓮華経法華経」、向かって右側には「不惜身命 護持正法」、左側には「如説修行 異体同心」と書かれおり、そして正面には、「報本反始」とありますがこれは「本に報い始めに返る」と言った意味で、仏教が説く「知恩報恩」の精神が込められています。
 大霊廟の参拝は単なる儀式ではありません。私たちが生きる上での大切な精神的支柱となるものです。古来より日本人は、自らのアイデンティティとして家族や先祖を大切にしてきました。ご先祖様への感謝の念は、過去から未来へと続く生命の流れを感じさせる道標だと思います。
 この大霊廟には既に3万霊位の先亡諸霊がお祀りされていますが、私達は、先亡諸霊位が築き上げた歴史や価値観を継承していくことが責務だと思います。心を込めた合掌の礼でもって感謝の念を捧げましょう。
 来る令和10年には、皆様挙って感謝の念を捧げ、創建100周年をお祝いしたく存じます。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷



真世界巻頭言


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