家族揃っての先祖供養を

2024年07月28日(日曜日)

―目連尊者と申人は法華経と申経にて正直捨方便とて、小乗の二百五十戒立どころになげすてゝ南無妙法蓮華経と申せしかば、やがて仏になりて名号をば多摩羅跋栴檀香仏と申。此時こそ父母も仏になり給へ。(中略)
悪の中の大悪は我が身に其苦をうくるのみならず、子と孫と末へ七代までもかゝり候けるなり。善の中の大善も又々かくのごとし。目連尊者が法華経信まいらせし大善は、我が身仏になるのみならず、父母仏になり給。上七代下七代、上無量生下無量生の父母等存外に仏となり給。乃至子息・夫妻・所従・檀那・無量衆生三悪道をはなるゝのみならず、皆初住・妙覚の仏となりぬ。―
                                                    (『盂蘭盆御書』より)

 8月はお盆、9月は秋のお彼岸と供養会が続きます。
 ご先祖様のご供養は、家族の結束を固める重要な行事のひとつです。家族そろってご先祖様を弔い、感謝の気持ちを伝えることで家族・親族間の絆を深めるだけでなく、家のルーツや歴史を共有することで一族としての一体感や誇りを感じるとても良い機会になります。
 また先祖供養という行事を通じて、家族の一員としての責任や役割を認識する事が、子どもであっても出来る良い機会だと思います。幼少期に母の実家を訪ねた折には、家の前で迎え火を焚くといった火を扱う事はさせてもらえませんでしたが、バケツに水をくむ係は私だと、祖父から言われた時の嬉しかった事を覚えています。そんな些細なことであっても嬉しかったのは、一人の男として認められたという喜びと、大した仕事でなくとも私の自己顕示欲を満たすには十分すぎるほどのことであったからだと思います。そういう中で祖父が担っていた責任を背負う覚悟などを、段々と意識していったのだと私は思います。
 ご先祖様への感謝のために思いやりを込めて供養することで、家族・親族全体が互いに敬い、支え合うという精神が育まれ、絆が強まり、困難な事はお互い協力して立ち向かい、嬉しい事があれば皆で喜びを分かち合う事が出来るようになります。
 先祖供養は、一族の過去・現在・未来を結びつけるものであり、一家族の結束幸福にとっても大切なものでありますから、祖霊信仰として仏教到来以前から重要な日本人の習俗として続いてきたと言われております。ですから、古来の祖霊信仰と仏教の回向供養の教えとが強く結びついた三大霊節(春季彼岸会・盂蘭盆会・秋季彼岸会)は、普段信仰から遠ざかっている人間が本仏釈尊のご縁を得るまたとない機会であるといえます。妙宗大霊廟盂蘭盆開顕大供養会・秋季彼岸大供養会への皆様のご参列を心よりお待ちいたしております。コロナ禍ではありますが、ご家族そろってご先祖様の供養を共にお祈りいたしましょう。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷




真世界巻頭言


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