生国の恩を報ずる為にも

2014年05月01日(木曜日)

 私は、少しでも人助けができればと、機会を捉えて、東日本大震災の被災地にでかけるように努めていますが、このような経験のなかでも、これまでにもっと勉学に励んで多くの知識を身につけていれば、もっと効率よく行動ができたのではないかとしばしば後悔させられました。私はあまり勉強が好きな方ではありませんでした。小学校に入学して初めての通知表を親に見せたところ、恥ずかしいから誰にも見せるなと言われましたが、臆面もなく、当時奉職しておられた本部の職員の方々に見せて歩いて祖父に叱られた事が、今とても懐かしく思い起こされます。そんな勉強嫌いの私ですが、何事を行うにも、広い知識や見識が重要であると気づかされ、今からでも晩くはない、勉強に心がけなければと自らを戒めているところです。
 被災地においては、勉強が苦手の私でも、みんなのために汗を流すことくらいはできるだろうと思い、さいわい体力には恵まれていることから、この父母から頂いた肉体を活かして頑張ろうと考えました。しかし、そこでの経験によって、ただ汗を流して瓦礫を撤去するだけでは自己満足に終わってしまうことを気づきました。もっと様々な形の貢献の仕方があるのではないか、そういった疑問が去来しました。この疑問に応え、その結果が功を奏するまでには時間がかかりますが、一度志を立てた以上はやり遂げなくてはなりません。のろまでもいい着実に歩を進めて行こうと、自分勝手ながらに心に決めております。
 被災地では未だ多くの方々が苦しい生活を強いられています。国民みんなが今上陛下の御言葉を心に刻み、お互いに助け合いながら、少しでも早い復興を現実的にしていきたいものだと思います。
 福島の方々は、福島県人である前に日本人であります。他県にお住まいの方々には、是非ともこのことを忘れないで頂きたいと思います。大震災そして原発の問題は、福島県福島県と、遠い異国の出来ごとの様に言う人がいますが、これらの問題はわれわれ日本人全体の問題にほかなりません。福島県は日本国福島県であり、「日本国」という大事な三文字を決して忘れてはならないと、私は常々強く感じております。昨今、多国間にわたる多くの問題が起こっていますが、これらも、それぞれの国が自国の主張をするのはある程度は分かりますが、各国の前に「地球」の二文字をあることを忘れてはなりません。各国は協力して、世界全体の幸せに真剣に取り組む必要があると思います。生国の恩を報ずる為にも、世界全体の幸せを最重要事項として常に念頭において考えることが必要であり、そのことこそが、生国への真の報恩行だと思います。

国柱会賽主 田中壮谷




真世界巻頭言


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