慈しみと思いやり

2023年11月27日(月曜日)

 人を褒めることはとても大事なことですが、いざ実行するとなると簡単なようで意外と難しいものです。えてして人の短所ばかりが目につき、また褒めるとおべっかを使っていると言われそうでつい気後れするものです。だれかが何か良い行いをしたときにその行為を褒めることは、お互いの心に潤いを与えて双方の幸せを生みます。実際にアメリカの大学で行われた実験で、他者の幸せを考える事で自身の幸福感が増幅するといったことが実証されたと聞いています。
 互いに褒め合うといった行為も、他人や自身の幸せを願ってわざと行うのではなく、自然と実践できるようになりたいものです。仏教では慈悲心が説かれていますが、仏道修行によって慈しみや思いやりの心が身に備わり、互いの長所を褒め合うことも心の自然な発露として行うことが望まれます。恩師田中智学先生も、「同行賛美」を第一の原則とされ、「正観結束」にもその大切さを説かれています。
 『無量義経十功徳品第三』に
是の経は能く菩薩の未だ発心せざる者をして菩提心を発さしめ、慈仁なき者には慈心を起さしめ、殺戮を好む者には大悲の心を起さしめ、嫉妬を生ずる者には随喜の心を起さしめ、愛著ある者には能捨の心を起さしめ、諸の慳貪の者には布施の心を起さしめ、憍慢多き者には持戒の心を起さしめ、瞋恚盛んなる者には忍辱の心を起さしめ、懈怠を生ずる者には精進の心を起さしめ、諸の散乱の者には禅定の心を起さしめ、愚癡多き者には智慧の心を起さしめ、未だ彼を度すること能わざる者には、彼を度する心を起さしめ、十悪を行ずる者には、十善の心を起さしめ、有為を楽う者には無為の心を志ざしめ、退心ある者には不退の心を作さしめ、有漏を為す者には無漏の心を起さしめ、煩悩多き者には除滅の心を起さしむ。
と書かれています。これは、世界が全体幸福になることを願う法華経の教えに同心する祈りの実践によって、自然に慈悲心が起こることを説いたものと思います。
 私は、心に余裕がないと感じる時、そんなときにこそ経文を唱え、皆が幸せになるようにとお祈りを捧げます。会社勤めでお忙しい方にはその様な時間はないと言われそうですが、イライラしたときなど、心の中でお題目を三唱するだけでも気持ちが一変します。
 法華経の集大成が即ちお題目ですから、南無妙法蓮華経とお唱えして日々のストレスを発散させ、心のストレッチをしてください。その積み重ねによって慈悲心が自然に身につくと信じて共に祈りを捧げましょう。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷



真世界巻頭言


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