秋のお彼岸を迎えるにあたって

2013年10月10日(木曜日)

 先月は旧盆を迎えましたが、今月は23日に秋のお彼岸の中日を迎えます。
 日本では、習俗として、お盆では迎え火をして御先祖を迎え入れ、送り火をして御先祖にお帰りいただく事となっております。お彼岸もそのようにとらえられている方が大勢いらっしゃるかと思いますが、そうではございません。もともと彼岸とは、私達の住む迷いの世界に対する、悟りの世界(涅槃)をさす言葉です。その彼岸に到る御修行に、朝廷の行事「御霊会」やかつては祭日であった「皇霊祭」が合わさり、今日では、先祖代々のご恩に対して感謝の誠を捧げるという「お彼岸会」となりました。
 以前にも書かせていただいたことですが、ときおり、お墓参りに行かないと罰があたるという言葉を聞くことがありますが、可愛い子孫に罰を与えるようなご先祖は決してありません。一切衆生を我が子として慈悲を垂れておられるお釈迦様も同様です。そもそも因果・縁起の教えを説く仏教に、「罪障」はあっても「罰」という考えはございません。もしご先祖を軽んじることがあるなら、罰を当てられるのではなく、自分自身が自らこころを貶めて罪障を重ねることになると思います。
 法華経には、「我常在此」というお言葉が書かれています。これは仏様が「我常にここに在って法を説いている」という意味です。御先祖様は仏様と一体になり、常にこの娑婆世界にあって私達を見守り導いてくださっています。御先祖様は何もお盆やお彼岸だけでなく、平素から私達をお護りくださっているのです。ご先祖様に対しては、お盆・お彼岸を問わず報恩の気持ちを持ち続けなければなりませんが、とりわけて来る秋のお彼岸には、ともにご先祖様と向き合って、こころから報恩感謝の気持ちを捧げましょう。

 南無妙法蓮華経

 

国柱会賽主 田中壮谷




真世界巻頭言


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