先祖供養も異体同心の祖訓を体して

2012年05月07日(月曜日)

 妙宗大霊廟には、毎日様々な方々が参拝に来られます。一心にお祈りをされるその後ろ姿を拝しておりますと、声をかけるのもためらわれるような、表現しがたい強い力を感じさせられます。近しい御先祖様の御供養を心に掛けてお祈りされている方も多いと思いますが、遠い過去の御先祖まで溯り、そしてそれらの御先祖と何らかの繋がりがある方々もみんな考えると、誰もがみんな身内であるとも思われます。近しい御先祖様のご供養も、お題目の力によって、一切衆生の成仏を目指す共通の願いに同化され、それだからこそ、その祈りに強い力が感じられるのではないかと思います。このこともやはり信仰のお陰なのだと、つくづく有り難いことだと思っています。
 人間が祈る力のエネルギーはとても大きいと思います。その力を自分の中に閉じ込めて眠らせたままであっては、とても勿体無い事です。みんながそれぞれに目指している一切衆生の成仏の祈りも、みんなが共に心をひとつにして行うことにより、さらに大きな力を発揮するものと思います。
 大聖人は、晩年身延に住まわれ、毎日、現在奥の院思親閣と名付けられている山頂に登られ、遥か房総の父母のお墓を拝む事を続けられました。我々は、毎年四月二十九日に、会員相集って思親閣に参詣します。この身延登詣は、祖廟中心を提唱された恩師が始められた行事であり、本会の諸行事のなかでも最重要な聖行事であり、今年で八十二回目となりました。毎年思うことですが、この行事に於いては、同志先亡諸霊位がみんなそろって大聖人の祖廟前に相集い、我々に異体同心の祖訓を体現するように呼びかけているように感じます。ここでいう同心とは、聖祖に同心する事であって、聖祖を中心とする事を忘失してしまう事があってはいけないのであります。聖祖に同心する事によって同志の同心も即ち成ずるのであります。都合がつかず参加できない同志にあっても、心を大聖人の御廟前に移して、異体同心を体現しようではありませんか。
 身延登詣の行事の内容は毎年同じですが、毎年参加されている方々から、確実に一年一年とその精神が向上するといった感想を伺っております。来年度には、同志の方々のより多くのご参加をお待ち致しております。

 国柱会賽主 田中壮谷




真世界巻頭言


ページの先頭へ