極楽百年の修行は穢土一日の功におよばず

2012年02月03日(金曜日)

 今年の成人式のニュースをみて、私はとても誇らしい気持ちなりました。被災地における新成人の様子が報道され、その立派な姿をみていて、何とも言えない気持ちが胸から込み上げてきました。新成人のなかには、晴れ着姿を見せたくとも家族を亡くした方々や友人を亡くした方々等多くの新成人の方々がとてもつらい経験をへて成人式に臨んでいました。同じ日本人としてとても誇らしく思いました。家族全員無事だった方も中にはいると思いますが、会場いる全ての人々が家族を亡くした方々に気を配って振る舞っている様子が感じられ、清々しい気持ちになりました。浮かれた場面ばかりを報道していた去年の成人式とは違ったとても素晴らしい新成人達のニュースを見て、心をあらたにがんばらなければ、という思いを強くしましたが、皆様も同じ気持ちを懐かれたものと思います。日本のみんなに元気を届けてくれた新成人の皆さま本当にありがとう、と心より御礼申し上げたい気持ちで一杯です。
 昨年の大震災は、千年に一度といってよい未曾有の出来事でした。しかし、この不幸な経験がもとになり、その復興の過程のなかで、千年に一度の逸材が育ち、日本の行く末を担ってくれることを私は確信しています。それにつけても、大聖人が、御遺文『報恩抄』の中で、「極楽百年の修行は、穢土一日の功におよばず。正像二千年の弘通は、末法の一時に劣るか」と述べておられるお言葉が思い起こされます。そろそろ一年が過ぎようとしていますが、まさに大聖人の仰せの通りで私が過ごした一年は、被災地の皆さま方の一日にも及ばないと思います。及ばないながらも、この御遺文を肝にめいじてこれから精進を続けていきたいと思います。
 被災地における瓦礫の撤去作業は、いまだに震災以来まったく手つかずの所が沢山あります。それとわかる警察の立会を求むと書かれた赤旗の数が前回訪れた時と殆ど変らず、瓦礫の撤去も進まないのが実情です。その様な赤旗の印を目の前に手つかずの瓦礫があるのに、片付ける事もできないことに悔しい思いがしますが、しかたがありません。一日も早くその様な現場が旧状の復することを願うばかりです。
 末筆ながら、亡き精霊の菩提増進をつつしんでお祈り申し上げます。
 南無妙法蓮華経

 国柱会賽主 田中壮谷




真世界巻頭言


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