紀元節を迎えて

2026年02月04日(水曜日)

 毎年2月11日は、日本国の初代天皇である神武天皇が御即位された日と伝えられてきた日であり、この日を記念して我が国の歩みを静かに顧みる日であります。
 紀元節といいますと、遠い昔にあった国家の歴史として捉えられがちですが、仏法の教えに照らして申しますと、この日は単に国の起源を祝う日ではなく、私達が「いかに生きるか」を問い直す日でもあると思います。仏教では因縁を重んじます。今日の日本がありますのは、遠い祖先から連なる無数のいのちとその営みの積み重ねによるものです。私たちが今ここに生きていることも、決して偶然ではなくはかり知れないご縁の上に成り立っております。この命の繫がりを振り返り今日の私達があることを自覚する日だと思います。
 日蓮聖人は、「国とは人によって立ち、人とは法によって立つ」という趣旨を繰り返し説かれています。つまり、国の安泰は制度や力によって保たれるのではなく、正しい法を信じて実践する人々の心によって支えられると教えられているのです。
 私にとっての紀元節は、国の始まった日に想いを馳せるとともに、自分自身の原点がどこにあるのか、仏法に照らして正しい生き方を歩んでいるかを省みる日でもあります。法華経には、尊い仏のいのちがすべての人に具わっていると説かれています。合掌の生活で相手を敬い、その仏性を自覚して感謝の心をもって日々を送り、家庭や社会の中で和を広げていくこと、それこそが現代における国を護る実践であると思います 。
 紀元節は、過去を讃える日であると同時に、未来への責任を自覚する日でもあると思います。私たちひとりひとりが、法華経の教えをよりどころとして、慈悲と誠の心をもって歩むとき、その姿が次の世代へと確かに受け継がれていくことでありましょう。紀元節にあたり、祖先への感謝を新たにし、国の安寧と世界の平和を祈りつつ、あらたな仏道修行の一歩を踏みだしたく存じます。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷



真世界巻頭言


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