明治天皇御製を拝して

2016年10月07日(金曜日)

 私は幼い頃から、落ち着きがない、集中力がないとよく言われました。そう言われると確かにその通りで、私自身いまでもそのように感じます。身体的には年々歳歳とひとなみに成長しましたが、精神的にはあい変わらずで、せかせかと落ち着きのない毎日を送っています。しかし、このような私でも集中できる時があります。法座において読経して御勤めしている時は、不思議と、祈りの対象であるご本尊様に心が集中されて落ち着いた気分になれます。法座でお祈りするとき以外は、正直いって、雑事にあれやこれやと思い巡らして心が落ち着きませんが、すべてを御本尊におまかせして心をこめてひたすらお祈りしますと、ひょっとすると性格まで変えることができるのではないかといった気分になり希望が涌いてきます。祈ることには資格もいらなければ上手下手もありません。信仰の世界はとてもおおらかな自由な世界であると思います。祈りを捧げるそのたびごとにその思いが強くなります。先月のお彼岸の法要の際には、ここ申孝園に沢山の方々が来られました。妙宗大霊廟に向かって合掌礼拝し、祈りを捧げる皆様の尊いお姿を拝見し、私の心も清められる思いがしました。どうかご参拝に来られた際には、共に祈りを捧げている同志の方々にも目を注ぎ互いに賛美しあいましょう。そして、皆様と共に、もっともっと祈りの輪を広げていきましょう。
 申孝園には石碑が全部で47カ所にございますが、御来園の節には、これらの石碑にも目を向けていただきたいと願っています。石碑そのものは同じでも、その時その時に応じて違った捉え方ができ、色々と教えられます。私は申孝園内で生活していますから、毎日明治天皇御製の石碑を拝しておりますが、その際に、今から12年前に法灯を継承したことをよく思い出します。不退転の決意で継承致しましたが、色々なことに当たって、明治天皇の御製によって勇気と力を賜りました。明治大帝と比べるのは畏れ多い事でありますが、15歳でご即位された御苦労と比べると、愚痴などこぼしておれないと、毎朝御製を拝しながら気を取り直しています。是非皆様も、ご来園の際には、園内の碑にも注目され皆様の心に響く碑を見出してください。
 さて、来月11月3日には、明治天皇のお誕生日を迎えます。今は文化の日と呼ばれていますが、一日も早く、本来の名称に戻したいものです。「明治の日」実現に向けての署名活動は、やっと60万を越えたところとの報告を受けておりますが、第一目標の100万までにはまだまだ足りません。一人でも多くの方々がご賛同いただき、御署名いただけることを願っています。ちなみに、国民の祝日である海の日は、明治9年7月20日に明治天皇が行幸のおり明治丸が横浜に到着した日を記念して制定されたと聞いていますが、今では7月第3月曜日ということで、連休を作る為にその年その年で変わってしまい、なんの為の祝日なのかと疑問を感じます。今一度、私達の祝日をしっかりと考えて、意義ある日としたいものであります。
 11月3日には、恩師のおことば「一年の魂とせよ明治節」を思い起こして、同志の協力のもと文化の日から明治の日となる様にがんばりましょう。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷



真世界巻頭言


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