一年の魂とせよ明治節

2016年11月01日(火曜日)

 秋も深まりはや11月を迎えましたが、この月は、本会にとってとりわけ重要な月と言ってよいと思います。
 11月3日は、今は文化の日でありますが、言うまでもなく、かつては明治節でした。恩師田中智学先生は、「一年の魂とせよ明治節」と叫ばれ、本会にとって極めて重要な意義のある日です。この日に本部では、明治節慶讃法要並びに創業記念法要と明治神宮参拝を行います。また、11月17日には恩師田中智学先生報恩大会が行われ、この日を中心にして、本会の基本方針を決める協議委員会など、本会の重要な行事が集まっています。
 私事で恐縮ですが、11月は私個人にとりましてとりわけ重要な月です。毎年のことながら、11月が来ると、平成19年10月の末に身延大祖廟輪番給仕を終えて帰宅して二時間もしないうちに母が意識を失い救急搬送となり、まるで、身延から私が帰るまで待っていたかのように意識がなくなりましたことを思い出します。上に述べましたような多忙な日程と重なりましたが、その日から、母の病室から申孝園に通う日々を送りました。母は、重要な行事がすべて終わった11月20日に帰寂しましたが、その時の体験が、その後の私の生き方の原動力になっています。11月は、私にとって、「一年の魂」の月といっても過言ではありません。
 私はときおり菩提の弔いのご回向において導師を務めさせていただくことがありますが、祈りを捧げる時にはいつでも、母との離別の経験を思い起こして緊張します。お前が未熟だからとも言われそうですが、私からすれば、この緊張感がとても大事だと思います。葬儀などに出向し、火葬場や葬祭業者の方々を見ていますと、流れ作業の様に効率ばかりを気にして、なんの緊張感も感じられないことが多く、これではご遺族の心が無視されているのではないかと疑問に思います。先日も、火葬場において、とても事務的な進行ぶりに遭い、憤りさえ感じました。親族の方はきっと私以上であったろうと心中お察し申し上げます。その場にあっては、その場の雰囲気もあって注意をすることも出来ずに終わりましたが、どのようなあり方が望ましいか、お互いに教え合うことも必要ではないかと思います。これからも、私は、初心を忘れずに精進してまいりたいと思っておりますが、礼を失するようなことがありましたら、向後のためにも忌憚のない御意見を賜りたく思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷



真世界巻頭言


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