天長節をむかえるにあたって

2016年12月03日(土曜日)

 12月23日には天長節を迎えます。心よりお慶び申し上げます。
 今日本は沢山の問題を抱えていますが、そのなかでも一番の問題点は、今上陛下始めご皇族方に対する国民の姿勢であると思います。昨今、生前退位が是か非かといった問題について多くの議論が交わされていますが、畏れ多くも、今上陛下の大御心に対し奉り、その御心を離れて私見を競い合うなどあってはならぬ事だと思います。日本の伝統からすれば、このような議論を戦わせること自体が異常なことであり、このことの異常性が自覚されていないことこそが最大の問題だと思います。大聖人が立教開宗された大きな理由の一つに承久の乱への疑問がありますが、この問題を当たり前のことの様に論じ合うことは、まさに承久の乱が現在に蘇ったかの観に襲われます。
 日本の伝統は、皇室を中心にして国民が一体となって道義を護っていくところにあります。明治維新を平和なうちに為しとげることができたのも、この伝統に基づいたものといってよいでしょう。恩師田中智学先生唱導の「明治節」制定運動は戦前華々しく実現いたしました。「明治節」を祝日とした意図は、明治の日本人の精神を未来永劫忘れないようにする事でした。しかしあろうことか終戦後、GHQの政治的意図により「文化の日」と祝日の名称・意義が改変されました。これは、日本人の魂の解体であるといっても過言ではありません。国柱会は、来年度の運動方針の第一義として、「明治の日」制定運動を掲げておりますが、道義を尊重してきたこのような歴史を有する日本人の誇りを取り戻す為にも、一日も早い「明治の日」の復活を希求してやみません。
 加えて私達は、先帝陛下の御慈悲御信念に基づいてその生命を保ち得ているという厳然たる事実を忘れてはなりません。西洋近代文明によって生活の利便性は追求されましたが、その結果、日本人が、決して失ってはいけない大事な魂を失ってしまったと思えてなりません。いまこそ日本人の誇りを取り戻さなければなりません。常に万世の太平を祈り、我々を大御宝と称して下さった大御心に対し奉り、ぜひとも、日本人として襟裳を正していかなければならないと存じます。昭和天皇は、最晩年の御製において、「やすらけき、世を祈りしもいまだならず、くやしくもあるか、きざしみゆれど」と、平和未だ成らざる現実が無念だと思し召されました。日本国民は、昭和天皇の捨身のご慈悲によって生を賜ったといって過言ではありません。
 このような日本の歴史を振り返るにつけても、その道統を度外視し、第三者的に生前退位を論ずるなど全くもって言語道断であると思います。末筆ながら、日本国民として、心より
天皇陛下宝祚延久玉體聖慮御安康並びに皇室のご繁栄をお祈り申し上げます。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷



真世界巻頭言


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