2019年09月01日(日曜日)
異常気象による九州大豪雨災害にて、被災された方々に対してお見舞いを申し上げますとともに、尊い命を落とされた方々の御菩提増進を心よりお祈り申し上げます。
さて今月は、二十三日に、令和の御世となって始めてのお彼岸を迎えます。秋のお彼岸は、祝日法では、国民の祝日の一つとされ、「秋分の日」と呼ぶように定められていますが、以前は「秋季皇霊祭」と呼ばれていました。この名称は、九月の秋分に於いて歴代天皇・皇后ほかの皇霊をお祀りする宮中の行事である祖霊祭に由来しています。このような由緒ある極めて重要な祝日ですが、現在は国民の祝日が数多く新設され、他の祝祭日と同列に理解されていることもあって、祝日の本来の意味が曖昧になってしまっているように感じられますが、皆さまはいかがお感じでしょうか。この先時が過ぎると、祝日の由来に想いを馳せる人すらだんだんと少なくなり、祝日のもつ意義が、遥か遠い過去へと消し去られてしまうのではないかと危ぶんでいるところです。
上述の祝日法では、「秋分の日」を、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日と定めていますが、このことを意識している若い世代の人がこの国に果たして何人いるのでしょう。戦後の発想がすべて悪い訳ではありませんが、今や失われようとしている良き日本の伝統文化を、今一度考えなおす時に来ているのだと私は思います。私の勝手な思いを言わせてもらえば、「秋分の日」がかつて「秋季皇霊祭」と呼ばれていたという事実だけでもカレンダーに記されていれば、皇室の「皇」に御霊の「霊」だからと、国民全体が襟元を正す雰囲気が少しでも高まるのではないかと思います。
今年は、上皇陛下が四月にご譲位されたことから、皇室におかれましては、新たな今上陛下のもとで「秋季皇霊祭」が営まれることでしょう。今上陛下のもと、我々も心清らかにご先祖様に報恩感謝の誠をささげて、亡くなった人々を偲びましょう。
南無妙法蓮華経
国柱会霊廟賽主 田中壮谷