御降誕八百年記念事業『歌舞伎 日蓮』を鑑賞して

2021年09月01日(水曜日)

 去る6月3日より6月28日まで、日蓮聖人御降誕八百年記念事業として、歌舞伎座にて、『歌舞伎 日蓮』が公演されました。今回の企画は、大正10年大聖人御降誕七百年の記念事業の一つとして歌舞伎座で興行された七幕十一場の長編『聖史 佐渡』を引き継ぐものと位置付けられます。『国柱会百年史』を紐解きますと、その際の脚本は、国柱会の創業者であります恩師田中智学先生が、日蓮宗及び坪内逍遥博士からの要請によって執筆された聖史劇「佐渡」に基づいていると記録されています。聖史劇「佐渡」については、昭和生まれの私にとってはただ資料や写真から想像するしかなく、観劇の感動をじかに味わえないことを残念に思っていたこともあって、今回、企画の当初から期待に胸をふくらませていました。舞台初日に鑑賞させていただきましたが、念願叶って、大聖人に直接お会いした様な思いがして、自然と涙がこぼれました。私には、大聖人がコロナ禍で右往左往している我々を教化するため、800年の時空を超えて姿をあらわされた様な想いがいたしました。ただ悔やまれるのは、今回の公演がコロナ禍と重なったことです。コロナ禍が無ければ、もっと観客を増員することができ、もう少し長い期間公演が出来ていたはずで、必ずや市川猿之助さん演じる大聖人が、今まで大聖人とのご縁がなかった人々の善知識となったであろうと思われます。幕の結びはお題目でした。恩師田中智学先生も脚本および演出など様々な苦労をされたことが『師子王全集談叢編八』に書かれております。「何であろうとも大目的が大聖人の史伝を、劇を通じて世に紹介したといふことが、自分の本領としての目的を達したのであるから、先ず以て愉快なことといっていい話である。」と結ばれています。
 企画をされた日蓮宗、脚本を書かれた横内謙介さん、演出された市川猿之助さんをはじめ、今回の公演にご尽力いただいたすべての方々に心より厚く御礼をもうし上げます。
 今回の企画には本会は全く係りを致しませんでしたが、御降誕九百年の折には是非とも本会が主体となって、恩師の脚本で歌舞伎公演をしてもらいたいものだと感じました。お題目に結縁して、いまこの企画を後の百年後まで、次代を担う方々へと語り継いでいって頂きたいと思います。そのために必要不可欠なのが続種護法です。多くのご家庭で悩まれている事と存じます。過去の因縁が深いから、家族として生まれて親子になったのにも関わらず、信仰の問題となると、なぜ子供や孫に国柱会の行事への参加を促すのが難しいのでしょうと言われる方が最近多くおられます。信仰の入り口としてのご先祖様への報恩からお誘いして頂きたく存じます。多くのお孫さんやご子息ご令嬢は、お通夜などの時に初めてお会いするのが殆どです。コロナ禍が落ち着きましたなら、どうかせめて春秋彼岸会や盂蘭盆会だけでも、ご一緒にご参拝頂きたくお願い申し上げます。
南無妙法蓮華経

国柱会霊廟賽主 田中壮谷



真世界巻頭言


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