寸心をあらためて

2023年02月02日(木曜日)

 「汝早く信仰の寸心を改めて」この言葉は、日蓮聖人の御遺文『立正安国論』の最後に出てくる主人の言葉です。『妙行正軌』に収められて本部の朝拝で読誦いたしますので、皆様もよくご存じかと思います。
 皆様は已に法華経を信仰しています。ですから冒頭の言葉の内、あらためて「信仰」について申し上げる必要はないでしょう。今回はその直後に出てくる言葉「寸心」について、私が感じたことを申し上げます。
 コロナ禍で私たちの日常生活には様々な悪影響(本会の行事が中止になっている事も含めて)が出ていて、ストレスを抱え続ける生活が三年を過ぎてしまいました。その様な中、やはり目に付くのが、自分を優先して、他者を退ける行いや発言です。「寸心」は本来自身の志や気持ちの事を、相手にへりくだって用いる言葉ですが、今は他人の志や気持ちの方を「寸心」―文字通りちっぽけな心ですね―として蔑ろにしているようにしか思えません。自分の意に添わなければ、相手を慮る事無く罵倒する、誹謗中傷するといった残念な事がとても多くなってきているように思います。そうでなくとも我々は、他人の悪いところばかり目に付き、自身の事は気づきにくいものでございます。ですが、毎日意識をもって日々の生活で共に「寸心を改める」事を意識して取り組んで参りたいなと感じます。どの様なことでも良いので、日々の生活の中で意識する事により、やがて大きな変化となる事と思います。
 今月は、紀元節「建国記念日」であります。また天長節「天皇誕生日」でもあります。それにお釈迦様の涅槃会、日蓮聖人降誕会と様々な法要が執り行われます。法国冥合を示しているかのような大変意義深い月に、皆様であらたな取り組みとして「寸心を改める」意識をもちましょう。より良い社会のために、我々の大願成就にむけて、出来る事から一歩一歩取り組んでいきましょう。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷



真世界巻頭言


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