お題目の鍵で心の扉を開けましょう

2007年01月29日(月曜日)

英国の首都ロンドンにハイドパークと言う名の公園があります。ご存知の方も沢山おられると思いますが、この公園の一角にスピーカーズコーナーという所があります。このコーナーでは、一八七二年に定められた英国法律によって言論の自由が護られ、自由弁論の場として現代に到っていますが、今でも多くの人が、様々な事柄について、公園を散策する市民に語りかけています。

今月は、日蓮聖人のお生まれになられた月です。ご存じの様に、大聖人は、建長五年(一二五三)の立宗宣言に始まり、鎌倉の小町の辻などで法を説かれました。法華経の教えに従い、観念的に想念された浄土を求めるのではなく、色々な悩みや執着を持ちながら生活するこの娑婆世界を、そのまま浄土にしなければならないと説かれました。更に、「政治が正しくなければ国も庶民の生活も安んずることが出来ない」、また「為政者が邪教を信じ、法華経をないがしろにすれば〝自界叛逆難・他国侵逼難〟が起こって、日本は滅亡する。」と、毎日説法されました。これは、ロンドンでハイドパークのスピーカーズコーナーが始まった年から遡ること、約六百年も前の事です。法律で保護されたわけではなく、多くの迫害に耐えながら、全くの無防備で行われました。当時の政府からも目をつけられ、松葉ヶ谷の焼き討ち、伊豆流罪等の苦難にも耐えながら、国の為を思い説法を続けられたのです。

現代に生きる我々は、多くの保護の下に、勝手に言いたい放題を無責任に言い放っています。大聖人は、現在のこの様な無責任国家を作るために、命がけで説法されたわけではないということを、自覚しなければなりません。様々な自由は、他の人々の色々な事情をおもんばかった上の自由である事を、改めて認識しなければなりません。責任の伴わない自由は存在しません。形ばかりの無責任な自由を、誤解して自由と思っているから、人生が空虚なものになってしまうのではないかと思います。

人はそれぞれ多くの悩みを抱えて生きている事と思います。私自身悩みだらけです。皆さんも同じだと思います。人の悩みも多種多様です。人に話せば大した悩みではないと言われる様な事であっても、本人にとっては大きな悩みだったりします。ここに皆さんが、他人の心にももっと目を向けて、心の叫びを暴発させる前に、多くを察して手を差し出してあげてください。それにはやはり、自己の心の感度をもっと高めなくてはいけないと思います。心の感度を高める事が、世界の平和、人類の幸せの鍵であると思います。その鍵で扉を開けていかなくてはいけないのです。何枚扉が有ろうとも必ず鍵が存在します。心を高める鍵、それが大聖人のお題目「南無妙法蓮華経」です。共に唱え祈りましょう。



真世界巻頭言


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