令和3年を憶念して

2021年12月01日(水曜日)

 令和3年もあとわずかになりましたが、コロナ禍は、我が国では収束したかの様に見えますが、諸外国で猛威を振るい油断できない状況です。全国同志の皆様も過去二年間に渡りコロナ禍の影響で様々な困難の時を過ごしておられたと存じます。しかし、皆様方におかれましては、法華経の信仰によって御自身を鼓舞され、困難を乗り越えてこられたのではないかと拝察します。
 新しい年を迎える前に、この一年を憶念いたしましょう。コロナ禍の為それぞれに色々な困難を強いられましたが、一切衆生の救済を説く法華経を信奉する私達は、自己一身の安寧を願うことに終始するのではなく、お互いを思いやる優しい心を持続することができたかどうか、反省することが大切だと思います。他者への心の優しさが自己の真の強さを生み、真の強さが再度訪れるかもしれない困難にも立ち向う力に繋がるものと私は確信しています。私が声高らかに叫ぶまでもありませんが、私達の願業は「通一仏土の妙相を現ぜんこと」であります。実現へはまだまだ先は長く険しい事でありましょうが、「願って難につけ」をモットーにして頑張りましょう。
 『妙法蓮華経』「常不軽品第二十」においては、自己一身を高める修行もせずに、ただ、会う人ごとに礼拝讃嘆して「我深く汝等を敬う。敢えて軽慢せず」と唱え、不軽菩薩と称された出家僧が登場しますが、彼はみんなに嘲(あざけ)られながらも人間礼拝の行に徹しました。不軽菩薩にあっては、心の優しさが芯の強さが一体になっています。不軽菩薩を範として身を持していきましょう。
 いま多くの日本人が信仰心から距離を置いており、このような現状において布教活動を展開しても顕著な成果は期待できませんがが、小さな事を積み重ねて、着実に歩を進めて参りましょう。日常生活のごくごく当たり前の事から見直していきたいと存じます。まず身近な家族に対して、互いに敬い合う心で接することから始めましょう。
 大聖人のお言葉に、「孝と申すは高なり、天高けれども孝よりは天高からず。また孝と申すは厚なり、地厚けれども孝よりは厚からず」とありますように、「孝」に徹することが重要かと思います。法華経に出会い、その教えに生きる私達は、仏様の御恩、大聖人の御恩、その御恩を肝に銘じて、身近な所から肩肘はらず、法華経は「難信難解」ではありますが、皆様でよく咀嚼し色々な工夫を重ねて教えを広める様に務めましょう。
 明年は叡智を結集して、一人でも多くの同志をつくり、大願成就に一歩でも前進いたしましょう。

国柱会霊廟賽主 田中壮谷




真世界巻頭言


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