恩師田中智学先生のお言葉 令和5年2月号

2023年02月02日(木曜日)

 今月は、日蓮聖人の御降誕会(十六日)を迎えます。今月号はその日蓮聖人のお話を、恩師田中智学先生の『日蓮主義概論』より抜粋掲載いたします。


講者より全國民への警告

予は、此新講座を開くに際して、左の警告を爲す。曰く
實は世界の全人類にといふ所だが、「因縁」の近いところから、さしづめ吾日本國同胞に向て、敢然として言はうと思ふ、國民は總じて眞劍になって、日蓮主義に思慮を向けなければならぬ。これまでの樣な繼子扱ひで日蓮主義を取扱って居てはいけない。
「善につけ惡につけ法華經を捨つるは地獄の業なるべし」と叫ばれた日蓮聖人の切言に、一たび耳を傾けて、泌々と此言を味って見なければならぬ。
日本の「本當の價打」を顯はした日蓮聖人を、たゞの宗敎家や、ただの學者ぐらゐに考へて居てはならぬ、日本を根柢から活かした法華經の敎理と法華經の行者とを、他人扱ひにして七百年もムダに月日を送って、尊嚴無比の神國を五一三六の平凡國と同樣に考へたはまだしも、却て凡國惡國の模倣までして得々たるが如き、何といふ愚かしい事であらう。
これ皆みづからの國の眞價を辨へないから起ったので、眞劍に日本を護り日本を正解した日蓮聖人を忘れたからで、是れを此のままで通したら、終には取返しのつかない事になって了う。今はモー其のせりつめた最後の鍔際である。今にして本心に立還らなければ、日本の大使命は闇中に消え去るであらう、大切の事、大切の時、此場合に臨んで、何よりの急要は、日本國民の全部が、一齊に過去の宿醉から醒め來り、「日蓮に依りて日本國の有無はあるべし」の聖語を坐り直して考ふべき事である。
古往今來日蓮聖人ほど深く日本を護ったものはない、日本開闢以來、大日本國の尊さを世界に示して、その内容の眞實深義を摘發し、堂々たる規模で世界統一の國命を高唱力説した日蓮聖人は、正しく、 天照太神 神武天皇 聖德皇太子に亞ぐべき大國聖であるといふ事を、非常時日本の曉の鐘として、新しい國民考察が、天から課せられたものと思ひ直すべきである。

講者より敎徒への警告

次に今一つの警告すべき相手は、從來日蓮聖人を奉じて居るところの日蓮門下各敎團の僧俗全體への申
告である。曰く苟くも日蓮聖人を奉じて、口に題目を唱へる所の人たちは、その僧たると俗たるとを問はず、又その敎團の何れの流派門葉たるとを論ぜず、咸く日蓮主義の支持者宣傳者として、一齊に世間に對って、一心專念に日蓮主義を鼓吹し擴張することに集注しなければならぬ。(中略)
日蓮聖人の唱導主張なされた「敎義」を、吾々が身を處し心を定める掟木(ぢやうぎ)として、專心に守り通すべき心の標準規律を主義といふ、汎く信仰も修行も含まれて居て、宗敎・宗旨・敎法・などいふことよりも、今少しく廣汎な意味に用ひられるのを日蓮主義と申す。
宗敎並にいへば日蓮宗といひ、所依の經に就ては「法華宗」とも稱し來ったのだが、純信仰の立場よりも廣い意味に、思想又は生活意識の上にまで用ひようとして、之を一般化して日蓮主義と呼做したのである。
(後略) 



真世界巻頭言


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