2023年04月01日(土曜日)
『天業民報』大正13年11月8日号より
殘忍性を人間より取祛ることを考究せざれば、人の世に平和は斷じて來らず、國際的に公議して、一切に砲火を禁ぜよ、人間の戰は人間らしくすべし、是れ戰を止むる漸なり。
天業時談
絶對平和是れ正に宗敎の本領
=形の兵器は心の兵器の表現なり畢竟して心の兵器を滅せずば世に平和なし=
一
國際聯盟でも、共産主義の世界でも、若しも人間の心の平和を確保する道がなければ、決して眞に平和の母たることは出來ない。自己に同じきもののみを愛する感情やら、自分の立場から觀たところだけが眞理だと考へて、喜怒哀樂したり、理屈をこねて居るような分齋の心境を、そのまゝにして置いて、世界の平和、人類の常樂を望むのは、それは西に向つて曉光を待つにひとしいことである。
國際聯盟 共産國家、ともに兒戲にすぎない。
二
しかるに今の世の宗敎家たるものが、その宗敎の本領たる、心の兵器を根絶せしむることに努めないで、いたづらに末の末たる社會政策の幇助のようなことをして得々とし、宗敎の能事こゝにありといつた顔をして居るのは、あたかも封建時代に、その時代の新制度を成立せしめるようの敎化をしたのと異らぬ。たゞ彼の時は封建制度が適し、今は社會政策の必要になつたといふにすぎない。
(以下次号)